活動報告(ブログ)

防災

目黒区の避難者数、4万7,000人は本当か?

こんにちは。30歳の目黒区議会議員、かいでん和弘です。

今回のブログは、首都直下地震の発生時に目黒区内で出る避難者数についてです。結論を先に言います。「東京都が出している避難者数の想定、甘いです!」

首都直下地震が起こった際の目黒区内の被害状況については、東京都が推計を出しておりまして、目黒区ではこの推計に基づいて、物資や避難所の確保など、様々な準備を行っています。

最新の推計は2022年5月に出た『首都直下地震等による東京の被害想定』で、そのなかでは目黒区内の避難者数は次のようになっています。

避難所への避難者数がピークを迎えるのは、発災4日後~1週間後の4万7,448人。一方で、目黒区には5万7,400人分の避難者受け入れ能力があります(2024年3月時点)から、この想定が正しいのだとすれば、一応、避難所のキャパは足りているということになります。

ちなみに、この2022年の推計が出るまでは、東京都の2012年の想定に基づいて準備をしていたのですが、こちらでは、想定避難者数のピークが約6万2,000人と、現在の想定よりも1万人以上多く、目黒区は「このままでは避難所が足りない!」と、新たな避難所の確保を急いでおりました。

もちろんその手は緩めることなく、来年度も都立目黒高校を新たに避難所に加える予定となっているなど、努力は続けていただいていますが、それでも最新の想定で避難者数が避難所のキャパを下回ったので、区の担当も「少しホッとしていた」というのが実際のところです。

しかし、本当に都の想定は正しいのか?今回、私は議会で「待った」をかけました。どういうことか、ご説明します。

先ほどの表をご覧いただくと、まず目につくのは「避難所外避難者」という文字です。

都の想定では、災害で自宅が住めなくなった時、すべての方が避難所へ避難するわけではなく、避難所外へ避難する方もいらっしゃるだろうとしています。

発災直後は近くにある親戚や友達の家、しばらく経って長距離移動もできるようになれば、区外・都外の親戚の家などに避難するということですね。これは当然理解できるところですが、ではこの人数はどこから来たのか?

都の担当の方に問い合わせたところ、この想定を作るにあたって東京都が2021年にとったアンケート結果から算出したそうです。都民に「震災時の避難先」を聞いたところ、

このくらいの方が、「避難所ではない場所に避難する」と回答したことから、避難者の内の同割合を「避難所外避難者」として算出しているそうです(←このアンケート結果は非公表)。

ただ、これってあくまで“希望”であって、現実には避難しようと思っていた親戚の家も被災していることも十分あり得ますし(首都直下地震なら被害は広範囲にわたります)、道路や鉄道などの交通インフラがどうなっているか分からないので、果たして本当に希望通り親戚などの家に避難できるのか。回答者はそういった事態になることまで考えて答えているのか。「アンケートで●%が回答したから」ということでは安直すぎるように思います。

次におかしいのは、避難者のピークがいつ来るか、ということです。

都の想定では4日後以降という事でしたが、正直言って「こんなことある?」って感じです。普通、災害発生時の避難者数はもっと前がピークになります。

熊本県教育庁発行『熊本地震の対応に関する検証報告書』P13より

一例として、平成28年熊本地震の際の避難者数のグラフを掲載しました。熊本地震の際には、震度7を観測した地震が4月14日夜と4月16日未明の2回発生していますので、ピークとなった4月17日が発災後何日目に相当するのか議論もありそうですが、おおむね発災1日~3日後にピークを迎えていると思われます。

もう一つ、平成30年北海道胆振東部地震の時の避難者数も国の資料を基にグラフ化してみます。

内閣府HP「平成30年北海道胆振東部地震に係る被害状況等について」よりかいでん作成

こちらも、元データで各日にちの時間が異なっているので見づらいですが、発災2日後の9月8日にピークを迎えています。

このように、東京都の想定のように発災後4日以降が避難者数最大になるというのは、かなり違和感があります。

これはとても重要な議論です。というのも、基本的なルールとして、発災してから3日目までは区市町村が避難者用の備蓄物資を用意し、4日目以降は都や国が備蓄物資を配給していくという考え方になっているものですから、発災3日目までの数字の正確性は、区役所の備えるべき物資量に直結する深刻な問題なのです。

なぜこのような基準になってしまったのか。それは、都の算定根拠に理由があります。東京都の想定では、避難者するのは次のような方とされています。

首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)」P6-70よりかいでん作成

要は、4日後以降に避難者数が増えるのは、断水地域の避難者が4日目以降に増えるからということなんですね。この点については、前のブログでも疑義を呈しました。

しかし、それ以外にもこの想定にはかなり疑問があります。例えば東京都の想定でいえば、次のような方は避難しないとされているのです。

自宅が一部損壊した方

余震が怖くて、家が一人では不安な方

停電でエアコンが効かず、家の中が過ごしにくいという方

エレベーターが止まったマンションの5階に住むお年寄りの方(そもそも6階以上でも10%しか避難しないってあり得ます?)

こうしてみると、都の想定は実に机上論・理想論で避難者を極端に狭くとらえており、正直実際の災害時には、私は大きく都の想定を上回る避難者数が発生するのではないかと危ぶんでいます。

このように東京都の避難者予想からの上振れも十分あり得るということを踏まえれば、物資の確保は避難者予想をかなり上回る分行っておかないといけないと思いますが、もう一つ考えないといけないのは、「備蓄物資をどこに置いておくか」ということです。

現在、目黒区ではとりあえず、都の避難者数の想定を上回る備蓄物資を保有しています(都の想定が甘いということはいったんスルーして)が、その保管場所は大部分が、各避難所の防災倉庫ではなく、区内20か所の備蓄倉庫のほうにあります。

特に、備蓄倉庫に保管されている毛布やサバイバルブランケット、マット、それからプライバシーを確保するための避難所スペース仕切板などは、初日のうちに地域避難所へと配送するのは現実的ではなく、発災初期に地域避難所の備蓄だけで乗り切ろうとすると、全く足りない計算です。

このように拠点的な備蓄倉庫の物資が初期には届かない可能性や、都の想定を上回る避難者発生の可能性を考えると、備蓄物資を増やすことが必要で、さらにそのために倉庫の面積を広くとることが必要です。

議会で、今後、学校の統合による建て替えを含め、地域避難所の建物を更新する際には、極力、防災倉庫のスペースを広めにとり、標準倉庫面積14.4㎡以上の保管場所を確保できるよう調整するべきと提案しました。

各地域避難所には、発災直後の初動期に使用する資機材や物資を保管しています。地域避難所の中には、敷地や建物の状況によって、標準規模の防災倉庫を設置できない場合もあり、小さめの倉庫を2基設置する、または、施設の一部を転用するなどして、施設の本来の目的である活動に支障が生じないよう、配慮しながら設置しています。

各防災倉庫には、毛布を550枚、サバイバルブランケット1,000枚を備蓄しており、地域避難所の避難生活者数を約500~1,000人と想定した場合、すべての備蓄物資が初日で足りなくなる状況ではありませんが、災害時の配送環境が保障されているわけではありません。

防災倉庫に保管されている備蓄物資が不足した場合には、区内20か所の備蓄倉庫から配送する計画となっていますが、議員ご指摘の通り、道路の寸断等により物資の配送が遅れる可能性があります。

そのため、今後は、できる限り近くの備蓄倉庫から、近隣の地域避難所へ物資を搬送する体制を整えていく予定です。

また今後、地域避難所の区立施設などを更新する際には、発災時での施設や防災設備の運用については考慮しますが、それと同様に議員のご意見を踏まえ、標準倉庫面積14.4㎡以上のスペースを確保できるよう調整を図っていきます。

防災課の中でも、避難所の倉庫がパツパツ状態であることは従来から課題と考えられており、おおむね指摘に沿う回答がいただけましたが、2段落目、毛布やサバイバルブランケットなどが初日で足りなくなる状況ではないという事に関しては「異議あり!」。また別のブログでつっこみます。

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