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自転車の安全走行のために…ヘルメット着用を努力義務化?

本日の委員会で、来年にむけて検討している『目黒区自転車安全利用促進条例(仮称)の骨子案が示されました。

 

じつは目黒区、道路の平均幅員が4.8mと23区で一番狭いトコロ(あれ?議会では一番狭いって言っていたのにNHKの報道だと中野区に次いで2番目に狭いだって…)でして、歩行者と自転車がギリギリですれ違うことがよくあります。そのため自転車マナーにまつわるトラブルも多くて、区役所にも苦情が多く寄せられていたそうです。

そうした経緯を踏まえて、このたび「目黒区でも条例を」という話になっているのですが、この条例の目玉はどうやら以下の2つに絞られそうです。

 

① 自転車に幼児を同乗させるときは、全員ヘルメットの着用を(努力)義務化

② 自転車保険への加入の義務化

※どちらも罰則はありません。

 

そこで今回は、この条例(案)について考えていくことにします。

 

―――

 

私はもとより、条例制定に懸ける目黒区の「自転車はルールを守って安全に!」という思いには100%共感しているので、この条例にも基本的には賛成です。

基本的には賛成、なのですが……ちょっと思うところはあります。

 

Ⅰ 【そもそも区の条例は必要なのか?】

 

まず考えたいのが、はたしてわざわざ条例を作るほどの必要があるか、ということです。
こちらは道路交通法ですが、

 

  • 第六十三条の十一 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

 

👉13歳未満のヘルメット着用を努力義務としています。

そうです、児童のヘルメット着用は、わざわざ条例をつくらなくても、もともと《国の法律》で、努力義務になっているんです!


さらに《東京都の条例》もご覧ください。

👉18歳未満および65歳以上の方が自転車に乗る場合に「ヘルメットを着用してね」と助言することを努力義務としています。

 

👉相手の生命または身体の損害に対する自転車保険への加入を義務(×努力義務)としています。

 

この通り、目黒区で行おうとしていることはすでに、国や都でやっている部分が多いです。だとすれば、「もうそれでいいじゃない」と思ったりもするのです。



 

では区の条例は、国や都となにが違うのかといいますと…

 

① 自転車に幼児を同乗させるときは、全員ヘルメットの着用を(努力)義務化

 

👉幼児の着用はすでに道交法でも都条例でも努力義務ですが、目黒区では運転する大人のほうもヘルメットの着用を努力義務化しようと考えています。(上のイラストでいえば、お母さんもヘルメットを着けるよう努力しなければなりません。)

 

② 自転車保険等への加入の義務化

 

👉都の条例では生命・身体への保険だけですが、目黒区は財産に対する賠償についての保険加入も義務化しようとしています。(高級車も多い土地柄なので、ミラーを損傷しただけで数十万というケースに備えてほしい、ということだそうです。)

うーん、②については理解ができますが、①についてはどうでしょうか。

 

Ⅱ 【ヘルメット着用の努力義務規定は適切か?】

 

ここで考えないといけないのが、そもそも自転車用ヘルメットが安全性を高めるかどうか、ということ。一見当然のように感じますが、実はこのことについては、世界中で大論争が続いていて、業界団体や学者を巻き込んだ末に、いまだ決着していないというのです。(気になる方はウィキペディアの「ヘルメット(自転車)」をご覧ください)

 

私自身、別にヘルメットが不要だという立場にいるわけではありませんが、このように有用性が断言できないなかでは、行政が努力義務にするのではなく、あくまで個人の判断にゆだねるべきではないかと思うのです。(つけたい人はつける、つけたくない人はつけない、というように。)

 

やはり、行政による個人への規制は、最小限にすべきです。
もちろん、規制をしないと他人に危害が及ぶ可能性があるものについては、迷わず行うべきだと思います。ただ一方で、あくまでその人だけに関わることがらについては、個人の自由に任せるべきではないか、と私は思います。

 

例えば、“たばこ”の例を考えてみましょう。

 

👉たばこの人体への有害性については、(ヘルメットの有効性をめぐる論争と違ってだれもが認めるところかと思います。それでも、たばこを個人的に吸っていることに対しては誰も文句は言いません。(“たばこを吸わないよう努めなければならない”、なんていう決まりは存在しません。)

 

👉ただし“吸う場所”だけは、条例で決められています。つまり、喫煙者の近くの人が副流煙の被害にあわないよう、しっかり分煙してくださいね、という方針でいるわけです。(この例では、たとえそのものが有害だと分かっていても、個人的な価値観に関する部分はその人の判断に任せつつ、他人に危害が加わる可能性がある部分にだけ規制をかけています。

 

私は、このくらいの距離の置き方が、行政の立ち位置としてバランスが取れていると思います。だからこそ、ヘルメットについて運転する大人にまで着用を(努力規定ではありますが)義務づけるのは、個人の価値観の部分に深入りしすぎているように感じているのです。

 

Ⅲ 【ヘルメットの着用を促して、安全走行につながるのか?】

 

今日の委員会で区の職員の方からご説明いただいた、“ヘルメットを着用してもらう理由”には、「ヘルメットを努力義務化することで、自転車の安全走行を促していく」ということがありました。でもはたして、ヘルメットを着用したら本当に安全意識が高まるのでしょうか。つまり荒かった運転が直ったり、マナーを守らなかった人が守るようになるのでしょうか。

 

これについて、

 

「安全意識が高まったら👉ヘルメットを着用するようになる」

 

という心境の変化はわかります。でも、

 

「ヘルメットを着用するようになったら👉安全意識が高まる」

 

これは本当に成り立つのでしょうか。私ならむしろ、

 

「ヘルメットを着用したら👉安心してもっとスピードを出すようになる」

 

という危険性もあるのではないかと、感じてしまいます。

 

要するに、自発的にヘルメットを着用したいと思えるように“教育”、“啓発”ができれば、安全走行ということにもつながると思いますが、ヘルメットを着けるように“規制”したとして、それは安全意識の高まりにつながるのかというと、私は確証が持てません。むしろそういった“規制”は逆効果になりやしないかとすら予感しています。(杞憂で終わればいいのですが…)

 

―大変長くなりました―

 

日々区内をまわっていると、自転車の本当にひどい法令違反行為をたびたび見かけます(信号無視なんて日常茶飯事になっていませんか?)。ですから、自転車マナーの改善は間違いなく必要だと思っています。ただし、今回のような形がいいかどうかについては、今後もじっくりと考えながら、議案があがってくるのを待とうと思います。

 

この審議は2月。議決されれば、令和2年10月から施行される見込みです。

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