前回の記事の続きになります。今回も「実験都市 神戸」の取り組みをご紹介していきます。
③ 情報発信の支援
連携先:フェイスブック ジャパン(FacebookとInstagram)
神戸市HP 神戸市公式SNSアカウント(一覧)
👉こんなことをしています
神戸市のSNS発信に関するアドバイスを受けることで、市民に情報が届きやすく、そこからさらにコミュニティの増強につなげようという取り組みです。
神戸市はさすが150万都市、市のFacebookアカウントがなんと87もあります。ただ以前までの情報発信は、各部署で「どれだけ市民に届いているか」ということはお構いなしに思うままに投稿していたそうです。そこにはレスポンスやアクセス数の分析などの視点が欠けていたため、非常に効率の悪い情報発信になってしまっていたと。
そこでFacebookからアクセス状況に関するデータの提供を受け、どんな人たちがどんな時間にアクセスしているかという分析を始めたそうです。これよって、例えば子育て情報の発信なら、ターゲットとなる0-2歳の親御さんが一番見る時間帯に絞って投稿するなど、効果的な投稿ができるよう改善できたとのことです。
Facebookとの連係は「役所→市民」の発信にとどまりません。地元で活動するNPOやカフェにも効果的な発信法を教える場を設けることで、「市民→市民」の発信を強化し、市民同士のつながり(コミュニティ)を活性化させようということまで行っていました。
目黒区とSNS
神戸市はFacebookのアカウントが87、Instagramのアカウントが25、Twitterアカウントが25あるそうです。では、我が目黒区はどれだけSNSを使っているでしょうか。
・Facebook(フェイスブック)
① 目黒区美術館
・Instagram(インスタグラム)
こちらは目黒区秘書課の運営する公式アカウントです。
・Twitter(ツイッター)
目黒区からのお知らせ全般を発信。一番コンテンツが充実しています。台風19号の教訓を踏まえてぜひより迅速な発信をお願いしたいところです。
「目黒区成人の日のつどい」に関するお知らせ。
「ティーンズ・フェスタ・イン・めぐろ」に関するお知らせ。
ちなみに他の区では区長のTwitterが一番情報が早かったりするのですが、目黒区長はガラケーユーザーで、Twitterのアカウントを持っていません(議会で何度も指摘されているのに…)。
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さらに台風19号の時には、目黒区広報課アカウントで情報発信していましたが、その時の情報の流れはこのようになっていて、
災害情報 → 防災課 → 広報課 → Twitter
例えばここに防災課がアカウントを持っていれば、
災害情報 → 防災課 → Twitter
というようにより迅速に発信できるので、私の方でも「ぜひ開設すべき」と提案しています。ただそのためには、更新をする職員体制の確保、通信環境の整備に係る予算措置等、様々な検討が必要なそうです。「やろうと思えばすぐできるのにやらない言い訳では?」と思ってしまいます。
・LINE(ライン)
該当なし。
区民の大多数の方がやっているだろうLINE。これを使いこなせればベストなのですが、未導入です。おとなり渋谷区では積極的に発信しているのでどうしても歯がゆく思ってしまいます。
渋谷区のラインでは子育てやごみに関する情報などが確認できます。
我々の会派“新風めぐろ”からも【LINEなどのSNSを用いた情報発信を強化すること】を要望していますし、庁舎内でも職員向けにLINEの説明会などは開いたことがあるそうですが、そこから先の検討がなかなか進まず……
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以上、目黒区の主なSNSの導入状況です。ただ実際にはこれらのほかに、「中目黒駅周辺地区街づくり協議会」の取り組む「なかめスタイル」など、地域で運用しているアカウントは複数存在します。そうした地域で頑張っているアカウントも、神戸市のように目黒区のHPに掲載できないものでしょうか。
いずれにせよ、情報発信への関心の低さは、ちょっと神戸市とは比ぶべくもないような状況です。もちろん発信元が多すぎると情報が分散してしまうので一長一短ありますが(87もよく作ったな~という印象)、これはちょっと、役所の熱意が追い付くまではわれわれ議員が真剣に情報発信を行わないといけませんね。がんばらねば。
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積極的な公平性
本筋に戻ります。
神戸市では他にもいろいろな企業と連携して取り組みをしています。一つずつ解説していくと時間が溶けるので抜粋。
④ IoT、AIを活用したエリアマネジメント
神戸市 × 神戸大学 × 日建設計 × さんちか(地下街)
地下街で、人が近くにいない場所は冷房から送風に切り替えるシステムを開発し、エネルギー効率を40%改善。
⑤ キャッシュレス決済の導入
神戸市 × 楽天
市内のスタジアムを完全キャッシュレス化。
⑥ データを活用した部活動の分析
神戸市 × ドコモ × アシックス
工業高校の生徒が、靴の中に仕込んだBluetoothタグから歩幅、移動速度などの情報を分析し、部活動の成績向上につながる練習メニューを開発する。
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ここでのポイントは神戸市の担当者曰く、“連携協定”だということだそうです。つまり“包括連携協定”ではないということなんです。行政って、やっぱり民間企業に対しては公平中立を維持する必要があります。特定の企業をひいきにして毎度そこに頼っていては、同業他社にとっては「自分たちだって同じようなサービスを行っているのに」不公平に感じてしまいます。
そのために神戸市では、あくまで○○社さんとは△△という行政課題に絞って協定しますよ、ほかの分野については他の業者さんとタッグを組んでいきますよ、という風に細分化しているそうなんです。こうすることで企業としても絞られたテーマに全力を注げますし、それこそ行政課題なんて他にも無数にあるものですから、多くの企業に行政との連携のチャンスを与えていると。
なるほどな~という感じです。
目黒区では、本当に事業者との連携ってほとんどしないんです。失敗したら取り返しがつかないでしょうということで超消極的。でも、どうせ公平でいるのであれば、消極的な《どこともかかわらないなんていう公平》ではなく、神戸市のような《どの事業者でも拒みませんという積極的な公平》を目指してほしい、と強く思いました。
目黒区の企業との連携はこちらのページから。(現在3件のみ)
他に大学とも連携協定を結んでいることは付け加えておきます。
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神戸市の取り組み、ここまででも本当にすごいなと思いますが、これで終わりではありません。行政のデータを公開して、企業にデータを使って課題解決してもらって、あとなにが足りないかというと、“人材育成”です。
なるほど、こうして企業と連携していくだけでは職員がデータを使いこなせるようにはならないというわけで、人材育成も非常に精力的です。次回はそうした取り組みから始まり、目黒区のICT活用の状況の方も引き続きご紹介できればと思います。(神戸市の視察報告は次回で終えられるかな?)
では。
有名な神戸ルミナリエが解体中でした。
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