こんにちは。27歳の目黒区議、かいでん和弘です。
今回は、「妊産婦さんへの支援」の第3回。宿泊型産後ケア施設を増やせないか、ということについて書いていきます。
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産後ケアとは?
産後ケアとは、ご家族等から育児や家事の支援を受けられず、子育てや産後の体調に不安のある産婦のかたが、助産師等の専門職のケアや育児指導を受けられるサービスのことです。
目黒区では、
の3種類があり、このうち宿泊型 産後ケアについては、全国の様々な産院で実施しているサービスですので、別にどこの病院のサービスを使っていただいてもよいのですが、
厚生中央病院と育良クリニックの2病院を使う場合に限り、区役所と病院との間で契約を結んでいるので、目黒区民の方限定で、通常料金よりも割安にサービスを受けられます。具体的に言えば、両病院とも通常は3泊4日の入院で14万円かかるところ、目黒区民の方に限り、4万円で使うことができます。
これはお得……ですが、それでも高くないですか??
金額を比べてみた
産後ケア事業に対しては、目黒区だけでなく各区で補助を行っているのですが、それぞれの区の自己負担額を比べてみました。
赤い区は目黒区よりも自己負担額が安い区、青い区は宿泊型産後ケアに補助を出していない区です。
一目瞭然ですね。宿泊型産後ケア事業を行っている21区の中で目黒区が一番、利用料金が高いんです。23区平均と比べても約2倍!これでは、使いたくてもなかなか手が出ないですよね。
契約病院数を比べてみた
先ほど目黒区は2病院と契約していると書きましたが、次に、他の区ではどれくらいの施設と契約しているのか、比べてみます。
赤い区は、目黒区よりも多くの病院と契約している(=つまり区民の方の選択肢を多く用意している)区です。これも大半ですね。23区平均でも4.4か所ということで、目黒区の2か所というのは特別区平均の半分以下です。
「あんまり契約しすぎると、区の出費も増えるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ご安心を。この契約は、実際に使う方がいた場合にはじめて、その費用を区が一部負担する仕組みになっていますので、契約する施設数をどれだけ増やしたとしても、それだけで区に毎年毎年負担がかかってくるわけではありません(歩合制と思っていただければ)。
区にデメリットは無し、区民にとっては選択肢が増えるというメリットばかり。これは、施設数を増やすに越したことないですよね。
なぜ施設数が少ないのか?
ではなぜ、目黒区の産後ケアは対象施設が少ないのでしょうか?
その理由は、「無理に目黒区の病院と契約しようとしているから」だと思っています。産後ケアについて語られた次の議事録をご覧ください。
これは令和元年(2019年)の保健センター長の発言ですが、今後契約施設数を拡大するにあたり、「まずは区内の病院に検討を依頼していきたい」と言っているんです。
でもどうですか? 目黒区の妊産婦さんは皆さん目黒区内で出産されるんでしょうかね? 実際には近隣区の病院で出産される方も多いのではないでしょうか(目黒区、狭いですしね)。
さらに言えば、今後区内の病院に検討を依頼と言いますが、区内の産院は全部で3か所ですから、契約数を増やす余地はあと1か所しかありません。それならば、区ざかいを気にせず、区外病院も含めて確保していくべきではないでしょうか。そういった点で、私はこの目黒区の方針に賛同できません。
(参考まで、下表は杉並区の産後ケア実施病院です。杉並区内に限らず、世田谷区や調布市、果ては江東区まで、幅広い病院と契約していますね。もし区内の産院にこだわっていたら、3施設としか契約できていなかったことでしょう。)
ニーズをめぐる見解の相違
さらに、この産後ケアに関して、9月区から気になる発言がありました。保健所長から、「希望が多くて利用できない方がいらっしゃる、という状況にはなっていない」という答弁があったのです。
確かに申込者数の数字だけ見ていれば、そういう状況なのかもしれません。けれども、私自身、この宿泊型産後ケアについて、区民の方から改善のご意見・ご要望をいただくことが多くて、例えば、「高くて使えませんでした」ですとか、「出産した区外の病院で行われていた産後ケアは、他の区民なら補助がでたのに目黒区民は対象外だったので自費で利用しました」というものなど、“使いたかったけれども使えなかった方からのお声”が大半なものですから、この保健所長からの発言には異を唱えたいんです。
\\利用に至らない潜在的な利用希望者の声もくみ取ってくださいー//
以上を踏まえ、宿泊型産後ケアの充実、特に区外の病院との、積極的な交渉・契約を訴えました。
目黒区の回答
現在、申請者の希望に沿った形で利用していただいている状況で、特に利用できないという苦情はいただいていません。利用者アンケートにおいても、かなり満足度が高いというふうに認識しています。
利用料金のことについても少しお話がありましたが、これについては減免制度も設けていますので、ぜひご相談いただきたいと思っております。(かいでん注・住民税非課税世帯は半額、生活保護世帯は無料。)
区外の病院と言いましてもどこでもいいというものではないと思っております。産後の母子がサービスを利用するために長距離を移動するというのは現実的ではないと思いますし、そのあたりの選定と申しますか、妊産婦さんのニーズや利用状況などを確認しながら進めていく必要があると思っております。
コロナ禍で医療機関はこういった産院を含めひっ迫している状況が続いておりましたので、なかなか交渉すること自体が難しいのかなと思っておりましたが、今後他区の状況を見ながら研究していきたいと思っております。ただ、区内に2か所もっているというのは他区と比較しても強みなのかなと思っております。
これまたイマイチ踏み込みの無い答弁ではありましたが、コロナ禍で産院も保健所もひっ迫していたというのは理解できます。ぜひコロナを脱した際には、施設数充実に向けて前向きに取り組んでいただきたいと思っています。
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次回は、妊産婦支援の最終回(予定)、碑文谷保健センターの立地問題について書きます。
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