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利用者ゼロ?目黒区奨学金を変えよう!

こんにちは。28歳の目黒区議、かいでん和弘です。今回は、目黒区の奨学金についてです。

目黒区の奨学金

皆さん、目黒区の実施している奨学金制度ってご存じですか?

中学生のお子さんがいらっしゃる方でしたら、こんな面白みのないチラシを目にされたこともあるかもしれません(毎年学校から配られています)。

目黒区の奨学金、制度の概要としてはこんな感じです。

一般的に奨学金というと、大学生が受けるイメージがあるかと思いますが、目黒区の制度は“高校生向け”となっています。また、給付型奨学金(そのままもらえる)ではなく、貸与型奨学金(返済が必要)ですから、実質、奨学金というよりも奨学ローンと言った方が近い制度内容です。

低迷する利用実績

さて、そんな目黒区の奨学金制度ですが、利用実績は右肩下がり。

2015年度までは入学資金+授業料まで含めた最高128万円を貸付する制度でしたので利用者も多かったですが、2016年に現在の制度(入学資金に最高30万円)となってからは、国の授業料実質無償化の動きもあってか、低迷が続いています。

このグラフの「近年の部分だけ」さらに詳しく抜き出してみます。

区は最大5人まで奨学生として採用しようとの考えですが、2015年度以降一度も5人に達することはなく、ついに2021年度に至っては申し込みすらゼロという“なかなか”な事態になってしまいました。

使われない理由は?

ではなぜこのような利用の少ない状況が続いているのでしょうか。私はその理由を、「他の制度と重複しているから」ではないかとみています。

上の表は、高校に通うためにかかるおおよその費用と、そこに対する助成制度をまとめたものです(かいでん作成)。

表の大きく左半分が都立高校に進学した場合、右半分が私立高校に進学した場合となっておりまして、それぞれの場合の費用の平均金額と助成制度の有無を記載しています。

表の見方をご説明するついでに、左の都立高校に進学した場合を見ていきます。(上に戻って表を見返さなくてもいいように、拡大して再掲します。)

まず入学金について。これは都立高校の場合どの学校も一律5,650円で、ご家庭の経済状況に応じて全額免除、または半額免除となる制度があります。

授業料、これは一律年間11万8,800円ですが、所得制限未満のご家庭は無料となります。国と都はこのことを指して、「授業料実質無償化」と言っていますが、実際にはそれ以上の収入があるご家庭について、3人以上の多子世帯であれば半額免除、そうでなければ全額自己負担となるなど、依然負担は残っています。

「その他」欄も同じ書き方になっています(説明省略)。

3制度の重複

さてでは、目黒区の奨学金制度は表のどこにあるかといいますと、大きく右側、私立高校に進学した場合の助成制度ということになります(赤文字部分)。

最初に確認した通り、目黒区奨学金は、利用できる方に所得制限があるものの、最高で30万円まで入学資金の貸し付けを行う制度でした。そしてそれだけ聞くと、都内の私立高校入学金の平均金額は表にある通り、25万2,688円ですから、非常に助かる制度のようにも思えます。

ただ実は、その下に記載の通り、ほかにも別の団体が行っている、同趣旨の制度が存在するんです。

  • 一つは、各高校が行っている入学支度金制度。これは目黒区と違って利用できる方の所得制限なしで25万円まで貸付を受けられるもの。
  • もう一つは、社会福祉協議会が行っている教育支援資金。これは所得制限は有りますが、貸付額が目黒区よりも多い最大50万円までとなっています。

これら3つの制度のどれかであれば、基本的には私立高校入学金の平均金額、25万2千円余を満たすだけの貸し付けは受けられます。

このように同じような3つの制度が重複して存在しているから、目黒区の奨学金制度は実績が低迷しているのではないかと考えました(実際これまでの辞退者の理由の多くも「他の制度を受けることになった」というものでした)。

奨学金、必要とされていない?

では、もう高校生の進学費用への助成制度は区がやらなくても十分足りているのかと言えば、決してそういうわけでもありません。

例えば、私立高校授業料について、国と東京都がお金を出し合って授業料実質無償化を行っていますが、先ほど表の左側の都立高校に進学した場合と同様、所得制限以上の家庭についてはこの対象外で、特に多子世帯でもなければ支援は全くありません。

また、表の3段目、施設整備費や教科書代等のその他費用に対する公的支援は、私立高等学校等奨学給付金か、育英資金貸付制度の2つありますが、

前者の私立高校等奨学給付金は、この制度を利用できるのが生活保護受給世帯および住民税所得割非課税世帯のみとかなり狭いうえ、もらえたとしても費用の年平均48万9千円余には遠く及ばない額ですし、

後者の育英資金貸付制度は親以外の第二連帯保証人が必要というハードルの高さがあります。

いずれにしても、高校進学への公助はいまだ充足しているとは言い難い状況なワケです。

給付型奨学金を!

以上のことを鑑みると、目黒区奨学金の利用者が減ったのは、決して学費への支援を求める家庭がなくなったからではなく、現状にそぐわない制度になっているからではないかと考えた次第です。

そこで、「所得制限の撤廃や給付型奨学金の創設を含め、目黒区奨学金制度をより使いやすく充実させるべき」と主張しました。

区はどう考えている?

区長からの答弁は次のようなものでした(要旨)。

目黒区奨学金制度には、ここ数年の申請状況を踏まえると一定の課題がある。また、令和2年度決算ベースで、およそ4,000万円の収入未済額が生じている等の課題もある。

目黒区奨学金制度については、財政負担も考慮しながら、現在の毎年5人という採用予定人数の規模をどうするのかという点も含め、考えていく必要がある。

国の動きや、現在の社会経済状況を注視しつつ、高校進学を控えた子育て家庭への財政支援という側面だけでなく、次代を担う子供たちにとって明るい未来に向けて、どのような支援が必要なのかという視点で制度の再構築を図っていくことが肝要である。事業の趣旨を改めて踏まえつつ、検討してまいりたい。

まず文末の“検討”というのは、まあまあ踏み込んだ表現ですので、「変えてくれるかな」とちょっと期待が持てます(下の画像はかいでん的お役所言葉のランク付け)。

また、答弁の中に “4,000万円の収入未済額が生じている”とありました。これは、「区が貸したのに、返してもらえていない奨学金が4,000万円ある」という意味です。

ただ、そのなかには納期通り返済中の分も含みますので、それらを除く返済が長期にわたって滞っている例だけで考えると、2019年5月末時点で35件、計1,183万8,000円分もあったようです。区ではこうしたお金を回収するため、民事訴訟(裁判で財産を差し押さえる)やら債権放棄(回収をあきらめる)やら、近年も立て続けに滞納対策を進めています。

このような「訴訟を提起しました」という報告が区議会に来るわけです。

答弁を聞きながら、「給付型ならばこうした手間や人件費はかからないのになぁ……」なんて思いを巡らせていたんですが、そういえば区長、給付型の創設については触れていらっしゃらないですよね。ざっくり“検討”とだけ。拡充の方向なのか縮減の方向なのかもわかりません。

改めて「給付型への移行も含め拡充の方向で検討いただけるということでよろしいのか」と、再度突っ込んで聞いてみました。そうしたら、

国の授業料無償化の話や、アフターコロナの社会経済状況のこともあるので、どういったことが子育て支援に資するのかといった点を含めて、給付型についても検討していきたい。

ここで「給付型をします」とお約束することはできないが、それが支援の拡充につながっていくことならば否定することではない。そういったことを含めて検討していきたい。

とのこと。

給付型奨学金の必要性については、以前の若者支援のブログでも触れましたが、ぜひ目黒区でも導入いただけるよう、今後も継続的に要望し続けたいと思います!

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