こんにちは。32歳の目黒区議会議員、かいでん和弘です。
今回は、昨年度から始まった「めぐろ子ども・若者会議」について。高校生から25歳までの若い世代が、区役所に対して政策提言をするという企画です。
2022年に私が議会で若者議会の実施を求め(※)、教育長から「今後の研究課題とさせていただきたい。」という決して前向きでない回答を得て以来、区に毎年要望し続け、ようやく3年越しに実現した事業になります。
(※)その時のブログはこちら。
私が最も実現したかった政策の一つなので、「うまくいってほしい」と心から応援しているのですが、期待値が高いからこそ「もったいないな」と感じる部分もありまして……。昨年度の取組を批判的に振り返りながら、目黒区の若者政策についての考えも織り交ぜたいと思います。
2025年度は「プレ」
まず、昨年度の開催はあくまで「プレ会議」。これは、翌年度の本格実施に向けた準備として、会議自体のあり方について話し合うものでした。

全4回、話し合いの機会が持たれました。参加者は区役所に集まって、
- 名称
- ロゴ
- 実施方法
- PRの工夫
を考えたほか、最終回には「目黒区の将来の公共施設を考える」というテーマで模擬会議も行われています。

ただ、もともと議会で審査していた段階では、プレという位置づけではなく、初年度から本格実施される予定でした。当時の予算プレス資料を見ても、

と書かれており、当初は一年目から政策の提案まで行ってもらう想定だったことが伺えます。
議論は事務局案に収束
では次に、昨年度のプレ会議で、実際にどんな話し合いが行われ、どう決まったのかを見ていきます。
まず会の名称ですが、
“未来の目黒をプロデュース!!「めぐろスマイル会議」”
に決定しています。

プロデュースとは、“何かを企画し、全体をまとめ、実現へ導くこと”を意味する単語。区役所もその名称を認めたからには、参加者が未来の目黒を文字通り“プロデュース”できるよう、全力でサポートしてほしいと思っています。
また実施方法については、第1回の会議で、事務局から次のような議題が示されていました。

注目いただきたいのが、各項目の右側に書いてある事務局からの例示です。
開催形式は「対面」
開催日時は「土曜日・午後・2時間」
開催場所は「総合庁舎」
参加人数は「10人程度」
年齢層は「高校生~25歳」
必要な備品は「ホワイトボード・ふせん」
これが議論を経て次のように決まりました。
開催形式は「対面」
開催日時は「土曜日・午後・【3時間】」
開催場所は「総合庁舎」
参加人数は「10人程度」
年齢層は「高校生~25歳」
必要な備品は「ホワイトボード・ふせん・【マグネット】」
結論はほぼ事務局案通りで、変わったのは、「2時間ではなく3時間にしたい」ということと、「マグネットも必要」という2点のみでした。
これは、「若者が事務局の想定以上のアイデアを出せなかった」と評価するべきではありません。そうではなくて、「ほぼ落としどころが決まっている課題しか、若者に与えられなかった」ということだと、私は考えています。正直こんなこと、職員同士の事務打ち合わせで済むレベルの話です。
また、会の名前やロゴを考えてもらったことについても、思うことがあります。
例示のために少し話が脱線しますが、目黒区ではこれまで新しい学校をつくる際に、生徒がワークショップに参加して校歌や校章、標準服(制服)を考えるという取り組みが行われてきました。

それ自体は良いことです。否定しませんし、やらないよりはやった方が断然良いと思います。
けれども、それをやったことで「生徒も参画しながら学校を作り上げた」とするのには、違和感があります。
本来生徒にとって重要なのは、新校がどんな学校だったらいいか、どんな設備が欲しいか、そこでどんな活動ができると良いか、といったことのはず。
そうした本質的な議論には生徒を立ち入らせずに、校歌とか校章とか制服とか、(重要でないとは言いませんが)教育委員会にとってはどう転んでも構わない部分だけに関わってもらい、「参画してもらった」という形をつくる。
これが今まで専ら目黒区がとってきた若者参画の手法であり、今回の名称とロゴを考えてもらう作業にもそうしたうわべだけの“参画”を感じてしまうのです。
大事なのは会議でどれだけ提案が出て、それをどれだけ区が受け入れるかどうか。「政策を考えるうえで職員からのサポートはどのくらい必要?」みたいに、会議体の“中身”を話し合うプレ会議ならわかりますが、いわば“ラッピング”を話し合う意義がどこまであるか。名称は職員に、ロゴはデザイナーに決めてもらえば、それで良いじゃないか――私はそう思います。
高かった参加者のポテンシャル
そもそも“プレ開催”が必要だったのか、という点も疑問に感じています。
先述の通り、2月の最終回では「目黒区の将来の公共施設を考える」をテーマにした模擬会議が行われました。

そこで出た意見のまとめがウェブサイトに載っていますが、参加者の区政課題に対する解像度も高く、「このメンバーならば初年度から政策提言まで踏み込めたのでは」と率直に感じます。

区の立場に立てば、子ども・若者からの政策提言を受ける機会は平成9年まで行われていた「子ども議会」以来約30年ぶり。職員にノウハウもなく、まずは“お試し”としてスタートしたかった、という事情は理解できます。
でもそれなら、「今年はプレ開催です」と初めから明言したうえで、本格実施と同じ形式で会議を進め、うまくいかなかった部分も含めて経験値として蓄積していくべきだったのではないでしょうか。昨年度、政策提言までは行っていないので、今年度も結局、“初めて”ということで手探りの実施になってしまうように感じます。
さらに、プレ会議を開くくらい丁寧に進めたいのであれば、ワークショップの運営事業者を入札で選んでいることもいただけません。
恐らく若者からの提案は、多くが粗削りでそのまま実行するのは難しいものと思います(短期間では仕方ない)。そのような場においてファシリテーターに求められるのは、若者からの提案に対して「なんでそう思ったの?」と深掘りしたりして、提案の要素をうまく採り入れつつ、着地できるところに落としていくという、高度なスキルです。
だとするならば、運営する事業者は価格勝負の入札ではなく、プロポーザルを実施し、各事業者の企画やスキルを比較したうえで決めるべきです。でも目黒区は、2年連続で入札。対応がちぐはぐです。

参加者は満足だったのか?
昨年参加された皆さんは、もしかしたらとても楽しんで活動できていたのかもしれないのに、何も知らない私が外野からワーワー批判して、我ながら嫌な奴だなと思います。
(本当は昨年の会議も傍聴して実際の雰囲気を味わいたかったのですが、「参加者が萎縮して発言しにくくなるから」と事務局からお断りされました←)
では、実際に参加した若い世代の皆さんは、この企画をどう感じていたのでしょうか。ウェブサイトに公開されている最終回の報告書を見ると、好意的な感想が多く掲載されています。

率直に「よかったな」と思いますね。
ただ一方で、気になるのが参加者数の推移です。応募者は10名いましたが、
初 回:9名
2回目:8名
3回目:5名
4回目:5名
と、回を追うごとに減っていっています。
もちろん、勉強や部活、社会人の方であれば仕事など、それぞれ事情がありますから、欠席自体を責めるつもりはありません。ただ参加人数は、回によって上下するのではなく、右肩下がりになっているとなると、志を持って応募した参加者の期待に、十分応えられる内容ではなかったのではないか――。
そこは、私は懸念しています。
今年は違う
ここまで、不本意ながらスマイル会議のネガティブキャンペーンに終始してしまいました。もしかしたら、今年の参加を検討していたのに、「やめようかな」と思ってしまった方もいるかもしれません。
でもご安心ください。今年は違います(重要)。
本稿に書いた課題は、私から予算審査の場で指摘し、区側にも課題認識を持っていただきましたし、なにより今年度は、実際に政策提言を行うところまで想定されています。
提案された事業を予算化(=実施)することも視野に入れているので、会議スケジュールが、あらかじめ予算編成に間に合う10月までで組まれているなど、準備は万全です。

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かいでんはこうしたい
最後に、私がこの企画について一貫して求めていることがあります。それは、各部署の連携です。
今年のスマイル会議は政策提案までできますが、扱うテーマは限定される可能性があります。会議を所管する子ども若者部以外の他部署は、この企画に必ずしも乗り気とも限らないからです。
実際に私が区に質した際、区はこう答弁しています。
来年度は「めぐろスマイル会議」の本格始動1年目になりますので、まずは子ども若者部のテーマを中心に取扱うことを想定し、全庁での連携・協力体制を見据えた課題などの洗い出しを実施していきたいと思います。
つまり、子ども政策や若者政策の範囲内でしか提案できない可能性がある、ということです。
もちろん、子ども・若者政策にも課題は満載で、例えば私が以前ブログで取り上げた「奨学金問題」などは、まさに皆さんからも声を上げていただきたいなと密かに思っています。
ただ例えば、「自転車政策について」とか「地域コミュニティについて」といったテーマの場合、「今回はやめておこうか」と言われる可能性があるのです。
なぜそうなっているのか。私は、区長の“本気度”が十分ではないから、だと思っています。
結局、子ども若者部がいくらやる気になったとしても、他部署を巻き込むには限界があります。他部署が自発的に若者の声を聞こうとするか、あるいは、それより上の立場――つまり区長が大号令をかけるしかありません。
昨年3月の予算審議で、私は区長に対して、次のような質問をしました。
「区長の子ども・若者会議にかける思いをお聞かせください。」
「子ども・若者会議への全庁の協力を実現するには、区長の立場から、全庁を挙げて取り組みましょうと、その意思を庁内に示していただくほかないと思っています。ぜひ、そういった最大限の協力を区長からおっしゃっていただけないでしょうか。」

これに対する区長の答弁は、あえて全文を載せますが、
「今、私どもの目黒子ども条例でも、第12条で参加意見表明というのも示されています。それから、法律等でも示されています。法律あるなし、条例あるなしにかかわらず、やはり2つあろうかと思います。
1つは、提案を、どうしたら提案しやすいかという仕組みをどうつくっていくか。提案を具体化する、昇華していかなければいけませんので、その昇華は、この16歳から25歳の皆様、関わるのか関わらないのか。どう対応していくか。こういったこと、提案だけで終わる話ではありませんので、そこをどういうふうにこれから制度設計をしていくかという必要はあるかと思います。
提案だけではなくて、本当に将来、目黒のまちを担う、いや、私はまちづくりで目黒区役所に入りたいなと思っても大いに結構だし、いや、目黒区議会議員になって、一生懸命やっていきたいという方も出てもよろしいでしょうし、そういったことを私としてはぜひ期待し、将来その中から目黒区長が誕生すれば、こんなすばらしいことはないんではないかなと私は思っています。
提案、今どういう形で始めるか分かりませんが、例えば子ども施策でも、もう言うまでもありませんが、子育て支援部だけではなくて福祉分野も関わっているし、今の現在の私どもの施策だって、もう既に子育てだけではなくて、福祉、教育、いろんな部が携わっていますので、それを具体化するには、全庁的な取組が必要だということは、もうおっしゃるとおりだというふうに思っております。」
というものでした(口頭でも分かりにくかったが、文字化しても分かりにくい……)。必要性は認めるものの、大号令を出すことはせず、その号令は今年も出ている様子が無いので、全庁連携は未達です。
結局、若者の参画に関心のある区長が、区全体に「若者の声を聞くんだ」という意思を示さなければ、「一部の部署だけで、いっとき盛り上がった企画」程度のものにしかならないでしょう。
対照的なのが昨年個人視察で伺った北九州市。市長の号令の下、「日本一若者を応援するまち」を目指して、様々な若者支援策を実施しています。私も、トップダウンでそうした区政を作っていきたいと思っています。
区長選は、区長が公約通り任期途中で辞職すれば来年、区議選と同時に行われます。目黒区にも、変革の時が近づいています。
最後にもう一度、申込ページのリンクを載せておきますね。

目黒区HP「「めぐろスマイル会議」参加者募集」
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