こんにちは。27歳の目黒区議、かいでん和弘です。
今日の主役は、この方!デデン!
んー、区役所の屋上から頑張ってみたのですがこれが限界…ですのでもう一枚。デデン!
主役は金太郎さんじゃないですよ?笑、今回は「富士山が噴火した時に目黒区は!?」というテーマでお送りします!
富士山が「活火山」だという事はよく知られていますよね。これまで約100年周期で噴火を繰り返してきたのですが、一番最近に噴火したのは1707年の宝永大噴火で、そこから300年以上も起きていないため、いつ次が来てもおかしくない状況です。
そんな富士山が噴火したとき、目黒区はどうなるか。よく「噴火による被害」というと、土石流や火砕流などを思い浮かべるところですが、さすがに富士山の土石流や火砕流が目黒区にまで押し寄せるといった心配はありません。
(ちなみに全くの余談ですが、おととし、「火山の噴火」について知見を広げるために長崎県の「雲仙岳災害記念館」に見学に行ってきました。自然災害の恐ろしさを強く感じましたが、翌日に行った「長崎原爆資料館」がさらに強烈で、「自然よりも人の方が怖いかもしれないな」と思ったり……。←何の話?)
では、富士山が噴火したときに、目黒区にどんな影響が出るかというと、ズバリ「火山灰による被害」です。
火山灰とは何か?
火山灰について実物を見たこともない私が、ここで物知り顔で解説するというのは、もし鹿児島出身の方がご覧になっていたらあまり気分のいいものではないと思われますので、手短に。
火山灰の性質を一言でいえば、「灰ではない」ということです。
火山灰というのは、マグマが細かく引きちぎられてできたガラスや鉱物の小さな粒なんですね。ですから、「薪をしたときにその辺を漂っている薄っぺらいホコリみたいなものでしょう?」とたかをくくっていると痛い目を見ます。(火山灰が目に入ると本当に痛いので2つの意味で)
目黒区にはどれくらい降る?
昨年4月、内閣府のもとに設置されたワーキンググループがまとめた資料によると、富士山で宝永噴火(1707年)と同じ規模の噴火が起こり、その際に西南西の風が吹いていた場合、目黒区は区の全域、特に区の南部・西部を中心に4~16cmの火山灰が降ると見積もられています。
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内閣府防災情報のページ「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」より
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また、別の調査も見てみましょう。平成16年に同じく内閣府の下に設けられた「富士山火山防災協議会」の想定では、宝永噴火と同規模の噴火が起こった際、こちらも目黒区では2~10cmの火山灰が降るとされています。
内閣府防災情報のページ「富士山ハザードマップ検討委員会報告書」より
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ただし実は、最初にご紹介した調査において、噴火時に西風が吹いていた場合の想定も出ていて、こちらでは目黒区は0.5~4cmとなっていますので、当日の風向き次第で大きく変わる部分はありそうです。まあいずれにしても、火山灰の被害から完全に逃れるということは難しそうです。
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内閣府防災情報のページ「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」より
そしてその場合…
ではその時にどんな被害が生じるかということですが、おおむね4つの方面での影響が考えられます。
(参考資料)大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ 別添資料2「降灰による影響の閾値の考え方」
① 健康への影響
・呼吸器系疾患、心疾患の症状の増悪
・目や鼻、のど、気管支の異常
・皮膚の炎症
・転倒や落下など人為的なケガ
→宝永噴火(1707年)の時には、江戸の町に火山灰が降り注ぎ、馬に乗ったお侍さんが目を傷めたという記録が残っています。特にコンタクトレンズは使用NGです!!
② 交通への影響
〇車の運転が困難に(吹雪の中を運転する感覚に似ています)
・車線等の道路上の標識が見えなくなる(0.1cm~発生)
・視界不良(前の車の巻き上げによる視界不良も)
・タイヤの摩擦の低下(2cm~で速度20km/hに、10cm~では走行不能)
→これにより事故の多発が危惧されます。
〇公共交通機関への影響
・鉄道の運休(0.05cm~発生)
・航空、船舶も運休可能性。
③ ライフラインへの影響
・停電
・上水道が濁る、水不足
・下水道のつまり
④ 家屋への被害
・2011年の霧島山噴火の際は、牧場の建屋が10cmの降灰で全壊
・空調のフィルタの目詰まり
その他、農林水産業への被害、商工業への被害、観光業への被害などが想定されています。
火山噴火への“備え”
このように、いざ発生した時には、区が受ける影響が大きくなると予測されますので、目黒区の周辺5区では、区の防災計画のなかに、富士山噴火時の対応について明記していて、関係機関との役割分担や、発生したときの対応方法などを確認しています。
(主に「区の果たすべき役割」とされているのは、①区民への情報提供、②(都等と連携した)交通規制、③物資の備蓄・配備、④宅地に降った火山灰の運搬、⑤道路の除灰作業、⑥収集した降灰の処分、⑦測定機器の設置・測定、⑧被害額の算定・報告等の作業です。ひとつひとつ事前に確認しておくことは大事。)
(例)渋谷区地域防災計画
ところが、目黒区の計画を見てみると…「震災対策」や「風水害対策」、「放射性物質対策」などについては記述されていますが、「富士山噴火降灰対策」については何も記載がないんです。
議会で質問!!区の回答は?
そこで先月、議会の代表質問で役所の意向を質しました。
かいでん「火山噴火時の動きを関係者間で確認・共有できていますか?」
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目黒区「区や国、東京都、防災関係機関との役割分担、対応方法などの確認・共有はなされていないところが現状でございます。」
かいでん「実際に発生したときにはどうするつもりだったんですか?」
↓
目黒区「東京都の地域防災計画や、目黒区地域防災計画に記載する医療救護対策、避難者対策などに準じて、災害対応を行うこととしております。」
有事の際に目黒区が東京都の計画を見ながら動くなんて、そんなおかしな話はないですよね。災害が起こったら、たとえ事前にどんなに想定していたとしても、必ずてんやわんやになるものです。それが事前の想定さえしていないとなると…区役所の混迷ぶりは想像するに難くありません。
かいでん「きちんと『地域防災計画』の中に盛り込んで、事前の備えをしておくべきではないですか?」
↓
目黒区「(計画に盛り込むということについて)国や東京都の防災計画、他自治体の事例も踏まえまして、どのような形で地域防災計画の内容を充実させていくか、検討してまいりたいと存じます。
(また、事前の備えについても)どのような形で、地域や関係機関との役割分担、対応方法などを明確にしていくか、調査・検討してまいりたいと存じます。」
おわりに
実は、今度の4月に目黒区役所では大きな組織改正(部署の再編)が予定されていて、その中で防災関係の部署もメスが入ります。
イメージとしては、今まで防災関係を取りまとめていた「危機管理室」が「危機管理部」に格上げとされ、その下に新たに「危機管理課」を設置することで、区の危機管理体制を強化するものです。今回指摘した件も含め、目黒区で起こりうる危機事象を幅広く想定して、対策を進めていっていただきたいと思います。
そして、なにもこれは目黒区役所だけの問題ではありません。「私自身も災害に備えねば!」ということで、先日、私費で防塵ゴーグルを購入。非常時に役立てられるでしょうかね~?
《区政の最新情報/よしなしごとをつぶやく》
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