こんにちは。27歳の目黒区議、かいでん和弘です。
年明け1発目(もう21日ですが…スミマセン)は、現在目黒区でひっそりと進行中の「人事政策の大転換」について書いていきます。
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1本の条例で新たな扉が開く
目黒区議会で昨年末、1本の非常に重要な条例が可決されました。その名も、
「一般職の任期付職員の採用に関する条例」です。
こうして字面だけ見てもイメージ湧かないと思いますが、簡単にいうと、「民間からの人材登用をできるようにするための条例」です。これこそ、目黒区政にとってはこれまでの人事の方針の大転換を意味するものでした。
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これまでの区役所は、一般の企業と同じように、新卒・中途で人材を選考し、採用したのちは10年以上公務員として様々な業務を経験してもらったうえで、課長・部長へランクアップしていくという、「若いうちから役所内部で育成した人材」によって運営されていました。
皆さん方さすが試験を通っただけあって非常に優秀な方ばかりなのですが、今の時代、ICTなどあらゆる面で技術の進歩が段違いに早くなっているなか、”公務員として採用され、公務員としての経験しかない職員”だけでは、なかなか対応が追い付かず、「一般社会では当たり前のことが、区役所では導入されていない」といった限界が各所に現れてしまっていました。(目黒区のデジタル政策なんて、本当に遅れていますよね…)
そこで、この条例では、民間の人材を「3~5年の期限付きで」、「非常勤ではなく正規と同じ待遇で」、「いきなり管理職(課長・部長)としての採用も認めるかたちで」登用して、区政が立ち遅れている分野を、新しい風でグイっと前に進めていってもらおう、というのがねらいでした。(野球でいう代打のように、ピンチの場面で登場して、ガツンと一本打ってもらうというとわかりやすいでしょうか。)
私も以前、視察に行った神戸市の事例を引き合いに出して、「他の自治体では民間の知恵を活用していろんな新しいことやっているのになぁ…」というマニアックなブログを書きましたが、目黒区でも今回、この条例を整備することによって、ようやく同じスタートラインに立てる、と言っていいと思います。
↓神戸市では、「データサイエンティスト」や「エバンジェリスト」など、今までの行政の枠を超えた、積極的な民間人材の登用を行っているのでした。
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ただ実はこの条例、目黒区が独自の知恵をひねり出して作ったわけではなくて、国の法律である「地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律」のなかで、「各自治体で条例を整備して、細かなルールを決めたところから、民間登用を進めていっていいですよ~」と言われていたものに、目黒区も乗っかったということになっています。(国から条例のテンプレートも示されているので条文を作るのは簡単です笑)
ここで私が気になったのが、この条例のもととなった国の法律が制定されたのがいつか、ということなんです。下の画像の一番上の日付をご覧ください。
平成14年!
そう、平成14年、つまり、いまから18年前に作られた法律の内容を、目黒区ではようやく令和2年になって条例に落とし込んだということなんですね。当然ながらこれは23区では最も遅い対応でありました。他の区では民間人材の登用を早くから進めてきているなか、目黒区はこれまで、たとえやりたくても条例がないので、そもそもできなかったわけです。
こうした、慎重すぎる姿勢(よく言えば堅実ともいえるのでしょうけれど)というのは、目黒区政のいろいろな場面で散見される、ある種区役所の体質ともいえるものかもしれませんが、やはりこれからの激動の時代に向けて、一掃していかなければいけないなと感じています(その発破をかけるために議員がいます!)。
このように1点だけ注文を付けはしたものの、私も本条例の趣旨には大いに賛成していまして、議会でも賛成多数をもって可決されたのでした。(なお、無会派の議員2名(川端議員・白川議員)が反対票を投じましたが、私には正直、その真意が理解できません…)
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そして始まった、大転換!
さて、ここからが本題ですが、この条例改正を受けて、現在目黒区では早速、民間からの人材募集を始めています。
第1弾は、「広報課長」です。
目黒区HP「目黒区任期付職員(広報・広聴担当)を募集します」
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目黒区の現在の広報政策は、情報発信の軸としているめぐろ区報を半分以上の方が見ていなかったり↓、
『第46回目黒区世論調査』より抜粋
区HPのつくりに満足している方は4分の1の方だけだったり↓、
『第46回目黒区世論調査』より抜粋
ほかにもSNSを全然使いこなしていなかったりと、課題山積という状態なのですが、(そのほかの調査結果はこちら(目黒区世論調査)から見られます)ぜひ、広報分野の職員を統べる課長として、目黒区の広報の大転換を行っていただきたい、と願っております(もちろん議会からも援護射撃しますよ!)。
業務内容はこちら↓
《勤務条件》(詳しくは上のHPをご覧ください)
・地方公務員(兼業不可)
・課長級(年収はおおよそ1,000万円)
・勤務時間は(基本的に)月~金の8時30分から17時15分
・勤務場所は目黒区役所
・令和3年4月1日から令和6年3月31日まで
任期は3年が目安ですが、最大で5年まで延長する場合があります。ただし、兼業不可なので、民間企業にお勤めの場合は、退職していただく必要があります。
《受験資格》(詳しくは上のHPをご覧ください)
・日本国籍(目黒区民じゃなくて全く構いません)
・広報関連業務の従事歴5年以上
・事務または技術の従事歴14年以上
・管理職としての勤務経験を有する
目黒区の広報を変えたいという思いをお持ちであれば、目黒区民である必要はありません(むしろ現在、目黒区の職員の78%が区外在住です!)。
と、このような募集内容になっています。
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そもそも、この広報…
ところが、この人材募集が区議会に報告された際、各議員から不満が噴出しました。「広報」課長募集自体の「広報」がなってない!って。まさに、その通り。
現在区で行っている周知は、区のHPへの掲載と特別区人事委員会HPへの掲載だけ(民間の人材募集サイトに掲載なし、広告掲載なし)で、HPの書きぶりも非常に官僚的。目黒区としては、民間のノウハウ、今までのやり方に縛られない発想をもった人材にとても期待しているはずなのに、その熱意が残念ながらこの文面からは伝わってきません。
ちなみに、区HPとともに唯一情報を掲載している特別区人事委員会の募集ページはこんな感じです。ただの表にリンクが貼ってあるだけだった…oh
区の言い分としては、「そうした募集情報にもアンテナを張っている人材に来てほしい」とのことでしたが、いやいや、むしろそんな情報をこまめに見ている暇もないほどバリバリ仕事されている方にこそ来てほしいです。一体これでどうしたら、優秀な人材が手を挙げてくれるというのでしょうか。
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実は、私がこの区の周知のやり方を懸念するわけがあります。それは、いち早く条例を制定し、民間登用の制度を開始させたほかの自治体で、制度の悪用とまでは言えませんが、当初思った通りに制度が使われない例が散見されているからです。
というのも、本来は民間の人材を登用して、民間の新しい風を入れようという趣旨で作ったものが、実態としては国や東京都、あまつさえその区役所を定年退職した元行政職員の再就職のポストとして使われるような事例もあったというのです。
そりゃ確かに、分野によっては、“官”での経験が強みになるケースもあるでしょうけれど、法律の元々の趣旨は、「高度の専門性を備えた民間人材の活用」ということですし、何よりせっかく募集したのに結局今までと代わり映えしない、というのではあまりにも悲しすぎますので、「もっと多くの目に留まるよう、周知してくれー」と私も委員会の場で区へお願いし、また私も微力ながら今回このブログを書いたわけです。
このことから、先の条例可決の際(11月)、新風めぐろは次のような意見・要望を述べています。
普段、区の HP を見る習慣のない民間の方にも募集情報が行きわたるように特段の配慮を払っていただきたいと、確かに要望したんですけどね…
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応募期限は1月29日まで。いよいよ迫っております。目黒区在住でなくても構いません。ぜひ我こそはと思う方、また、周りに「あの人なら」と心当たりのある方がいらっしゃいましたら、まずはどうぞご検討ください。
また、今回は広報分野でしたが、おそらく目黒区では今後もいろいろな分野で同じような民間登用を進めていくものと見込まれます(もちろん私も議員としてそれを望みます)。また募集がかかった暁には、下のツイッターでお知らせしてまいりますので、ぜひチェックしてみてください!
《区政の最新情報/よしなしごとをつぶやく》
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